フレーム修正と切開の仕方

実作業

大きな事故を起こしてしまったら直るのだろうか?
フレームが曲がってしまったら直らないと聞いたことはありませんか?
車体整備業界(鈑金屋さん)には何種類かのフレーム修正機がありフレームが損傷していても修理可能です。

 



最近は自動ブレーキの普及や車体構造の変化により少なくなったフレーム修正ですが私なりの修正の仕方を記事にしたいと思います。
出会い頭に左から来た車と衝突した形です。
かなりの衝撃があったと思われます。

正面から損傷部分を見た画像です。
ちょっとわかりにくいですがかなり右に振っている状態です。

フレーム修正機(当社はカロライナ―)に固定し入力と反対のベクトルで力をかけていきます。
まずサスペンションメンバーの位置を測定し狂いがなかったので固定した状態にして力をかけます。
(逆にサスペンションメンバーの位置がずれているならフリーにして力をかけます。)
ここまで曲がっていると左右同時には直りにくいのである程度戻ったらフロントクロスメンバーをカットし片方ずつ作業します。

左のフロントフレームです。
サスペンションメンバーのあたりでへし折れているのがわかると思います。
直し方は色々あると思いますが熱をかけると鉄板の質が変質するので私はなるべく熱をかけなくていいように裏側を切開し叩きだすことにしました。

切開の仕方も色々あると思いますが私は下のように窓を開けるように切開しています。
その方が全体的な寸法の狂いがでにくいからです。
スポットで止まっている部分をカットすると強度にバラつきが出て力をかけると曲がりすぎたりする場合があります。
この修正ではへし折れた部分に最も力がかかるように真っすぐからやや左に力をかけた状態で裏側からバールをあてて大ハンマーで叩いていきます。

修正後のフレームです。
いい感じに元の形に直っているのがわかると思います。

右のフレームは切開しなくても力をかけたうえでハンマーで叩いて修正可能でした。
フレームの形が整ったら測定して寸法を合わしていきます。
今回は入力が前からの直撃ではないので長さの狂いは無いとみていいでしょう。
まずはフレームの高さを合わせその後、左右の振れを修正します。
フレームの寸法がでたら切開した部分を溶接しても大丈夫です。

フレーム修正としてはこんな感じです。
この後フェンダーエプロン、ラジェターサポートを溶接していきます。
外板パネルのチリに直接影響するのはこれらのパネルなのでシビアに寸法を出して付ける必要があります。

ちなみにこの車5年ほどして別件で入庫してきました。
相当大きい修理を行ったので元気に走っているのを知ってちょっとうれしくなりました。

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